ビス・グライヒ、チュース私たちは夜眠るときはぴったりくっついて寝る。 だいたい彼の腕枕で寝るのだが、 心地いいポジションを見つけるのがなかなか難しい。 いつも「おやすみ」と言ってから十分くらいは お互いじたばたと動き落ち着いて眠れないのだ。 落ち着きのないカップルだ。 そして彼も時々やさしさを見せて、 「ほら、枕使っていいよ」 と私の頭の下においてくれるのだが 朝には彼が枕を独占していることが多い。私は丸まって眠っている。 私は寝ぼけることが多いらしく、今まで知らなかった事実発見! 夜中にトイレへ行くときも目を開けないらしい。まじで危ない! かならずどこかにぶつかりながらトイレへたどり着く。 当初は彼もそれが心配だったらしく、 私が夜中におきると、気がついて、 「気をつけて!!」 と叫ぶがいつもときすでに遅しで 私は寝室の扉の横の壁にぶち当たる。 一度鼻が折れるかと思うほど強くぶつかったことがあり、 さすがにこのときは目が覚めて、 濡れタオルで冷やした。 実際ぶつかったのは唇と鼻の間で、 しばらくはそこを触ると痛くてたまらなかった。 無意識に突然接吻をされると 「アウアーー!!!!!」彼につられて私もアウアーと言うようになった。 と叫ぶ日々が数日間続いた。 私の寝ぼけっぷりは朝がまた激しいらしい。 羊さんが学校へ行かなければならなかったり、 仕事へ行かなければならなかったとき、 当然目覚まし時計を彼は準備しておくのだが、 それが相当大きな音でも私はびくともしない。 おそらくラジオの目覚まし時計だからかもしれない。 ドイツ語で流れてくるラジオは多少耳に入るのだが、 夢の世界にいる私にはへでもない。 そんな私を強引に起こすことも無く、なんか私最悪? 彼は黙々と準備をして登校・出勤するのだが、 必ず家を出る前には、私のそばにきて 「またね」 と囁いて接吻をしてくれるのだが、 このときも私は寝ぼけている。 羊さんトイレから帰ってきたのかな・・ などと思いながら何かを告げようとするのだが 口がうまく動かないので羊さんは理解できず。 「今朝は“お母さん、お母さん”って言ってたよ。」 と午後に帰宅した羊さんに言われたこともあるけれど まったく記憶になし。 なんでこの歳になって私は「お母さん」などと言うのか・・。 自分でも理解不能。なんなのー。 「なんかチューチューって言うから接吻したのにぶたれた。」 といわれた事もある。 これは、思い当たる。 しかし私が言いたかったのはおそらく「ちゅー」ではないのだ。 彼が耳元で 「ビス グライヒ、 チュース」(ドイツ語で“またね、バイバイ”) と言うのを寝ぼけながらも聞き取った私は、 「チュース」 を繰り返したかったのだ。 口もまともに動かないままに「チュース」を発音したため 「ちゅー」に聞こえたのだろう。 自分は「バイバイ」って言っているつもりなのにも関わらず 接吻をされたので多分怒って(?) 羊さんをぶってしまったのだろう。 怒ってぶつほどのことでもないけれど。 愛していないわけじゃないのだけれど・・・ ごめんなさい。 |